南米ボリビア、アルゼンチンで火花を散らす日本商社 リチウム争奪競争

南米の貧困国ボリビアは「21世紀のサウジアラビア」になるかも知れない。これからの資源は石油ではなく、次世代電池の原材料となるリチウムだ。リチウムは携帯電話端末、ノートパソコン、電気自動車のバッテリーを製造するのに使われ、世界のリチウム埋蔵量の半分(約540万トン)が南米ボリビア南西部の荒野に眠っていると推定される。

ボリビアが開発を希望したとき、日本は真っ先に官民で構成する代表団をボリビア政府に派遣し、三菱・住友両グループは鉱山開発に必要な技術提供を申し出た。日本政府にとって、リチウムの安定確保は国家的な死活問題だ。

 中国ボリビアのモラレス大統領の故郷に学校建設資金を支援し、軍用車50台と船舶2隻を提供することを提案した。中国にとってもリチウム確保は切実な課題だ。中国は今年、米国を抑え、世界最大の自動車生産国となる見通しだ。中国が育成する次世代の戦略輸出品である電気自動車のバッテリーを生産する上で、リチウムの確保は必須だ。

ここまでが2009年6月16日までの英国のニュースで、ボリビアが日本と組むか、同じ社会主義国の中国と組むか外野席ながら気になるところ。実はこのリチウム資源、ウユニ塩湖の塩水中に含有する。ウユニ塩湖は標高3700メートル地点にあり、南北100キロ、東西250キロの広大な地域。海水のリチウム濃度は0.17ppm程度とされるが、ウユニ塩湖では1万6000倍以上の2830ppmもある。(写真はウユニ塩湖と塩湖のかんすいの中を走る自動車

希少金属リチウムを海水から効率的に回収する世界的な技術、特許を持つ北九州市立大学国際環境工学部の吉塚和治教授(分離工学)と住友商事のグループ、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、三菱商事などはボリビアと共同開発を検討することで2009年6月に合意し実験プラントの検討に入った。他に韓国、フランスロシアも名乗りを上げており、最終的にどこがプラントを受注するかはまだ未定だが、ボリビアは2013年には操業を開始したいとしている。

塩水からリチウムを回収する世界的な技術を持つ日本が生産プラントを受注する可能性が高い。特にマグネシウム濃度の高いウユニ塩湖からの回収には高度な技術が必要だ。これが成功すれば日本に安価なリチウムが供給され国際競争力が一気に増す事になる。問題は、社会主義化を進めるモラレス大統領は、技術と資金はほしいが運営は国営企業化したい意向で、この辺が投資した分の利権が得られない日本企業の抱える問題点だ。この資源をボリビアの開発の原資にするべく、大統領みずから世界に見境無く売り込んでいる状況で、当分駆け引きが続きそうだ。 すでに生産しているところでは南米チリアタカマ塩湖(Salar de Atakama)が有名で、日本も輸入の多くをここに依存している。南米では他にアルゼンチンリンコン塩湖が生産している。

世界のリチウム生産量(2007推定) 25365147_68cf868ab9_olrg_2630 
1位 チリ 9,400トン
2位 オーストラリア 5,500トン
3位 アルゼンチン 3,000トン
3位 中国 3,000トン
4位 ロシア 2,200トン
世界のリチウム確認埋蔵量
1位 ボリビア 5,400,000トン
2位 チリ 3,000,000トン
3位 中国 1,100,000トン
4位 ブラジル 910,000トン
5位 米国 410,000トン

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リチウム自動車バッテリーの開発状況日立グループ、第4世代のリチウムイオン電池を開発…出力密度1.7倍

以外なのは、すでに多方面で使用されているリチウムイオン電池の再利用が世界的に確立できていない事。最近のニュースで日鉱金属は2009年9月3日、使用済みのリチウムイオン電池やリチウムイオン電池の製造工程内で発生する廃正極材からコバルト、ニッケル、リチウム、マンガンなどのレアメタルを回収する実証化試験を実施すると発表した。2011年にはレアメタルの回収を事業化したい考えとの報道があったリチウムイオン電池からのリチウムおよびマンガンを回収する技術については、実用化すれば世界初になるという。

2009年11月24日:南米歴訪中のイランのアフマディネジャド大統領は24日、ボリビアを初訪問し、反米左派のモラレス大統領と会談した。ボリビアは電気自動車向けのリチウムイオン電池の原料となるリチウムで世界有数の埋蔵量を誇り、同国が目指すリチウム利用開発の調査をイランが支援するとの協定に調印した。ともに反米の両首脳は「帝国主義(米国)の圧力」に対抗する上での協力強化を確認。イラン側はボリビアに総額10億ドル(約890億円)の援助・借款を提示した。ボリビア側はこれを天然ガスの生産増大などに投じるとみられる。(共同)・・この訪問には裏があり、2009円5月にイスラエル外務省の機密文書が、イランの核原料ウランが南米ベネズエラ、ボリビアから輸入されているとしている。事実であれば、日本がボリビアへの開発投資を行い、資源を買うことにはアメリカが相当神経質になる可能性が高く日本~ボリビアの関係は先行き不透明になってきた。

2010年1月22日豊田通商は、アルゼンチン北西部のオラロス塩湖 Salar de Olaroz で進む、リチウム資源開発の事業化調査に参画する、と発表した。リチウムはハイブリッド車や電気自動車に使われるリチウムイオン電池に不可欠な希少金属。権益を獲得すれば、国内企業では初という。2014年に、トヨタ自動車のプラグイン仕様の「プリウス」に換算して300万台分の生産を目指す。 ここの権益100%を持つオーストラリアの資源開発会社Orocobre Limited (本社:オーストラリア・ブリスベン市、「オロコブレ社」)と共同で調査する。豊田通商は約450万ドル(4億1千万円)を負担し、炭酸リチウムの埋蔵量や採算性を確認する。構想では、共同出資会社を設立し2012年より生産を開始する予定で、2014年には、炭酸リチウム年間15,000トン、塩化カリウム年間36,000トンの生産を目指す。 舗装道路・ガスなどのインフラ設備が近辺まで整っていることや、 リチウム含有量が高く、マグネシウム含有量が低いことなどで有望視されている。

2010年2月10日:伊藤忠商事戸田工業は9日、中国のリチウムイオン電池の正極材大手、湖南杉杉新材料(湖南省長沙市)に出資すると発表した。両社で設立する特定目的会社(SPC)を通じて株式25%を取得、3年以内に出資比率を50%に引き上げる。両社は湖南杉杉への出資を通じてリチウムイオン電池の供給基盤の強化と同市場からの新規需要の取り込みを狙う。

2010年5月東芝 HEV・EV用電池として、SCiBTMSuper Charge ion Battery)新型 リチウムバッテリー生産に入る。充電6000回でも劣化しない! 参考補足記事:PDF

2010年8月16日:韓国紙に寄ればボリビアのモラレス大統領が今月末、2泊3日の日程で韓国を国賓訪問する。 モラレス大統領の訪韓期間、両国は二次電池などに使用される核心原料リチウムの開発に関する協議をする。 政府関係者は「モラレス大統領は日本や中国を訪問せず、韓国だけを単独訪問する」とし「リチウムをはじめとする資源協力分野で成果が出ると期待している」と述べた。

2010年8月26日韓国がボリビアと調印  韓国だけの独占開発とも取れる報道は韓国紙の早まった誤報とも言われている。

  関連ブログ:レアアースと中国 ボリビア関連ブログ:コカの葉とモラレス大統領  関連ブログ:南米の反米国家ベネズエラと中国

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One Comment

  1. ヨリババ
    Posted 2009年6月24日 at 5:01 AM | Permalink | 返信する

    リチウム、石油に取って代わる貴重な資源。身近なケータイには、リチウム・金等と貴重なものが使われている割には、リサイクルが進んでいないように思います。個人情報は、新しいケータイに移して、完全に消去するシステムで、リサイクルが順調に行なわれるといいですね。我が家にも、使用しないケータイがいくつかあります。

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