地球の未来を作る産油国

masdar_city1 アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ(Abu Dhabi)で、2008年2月から建設が開始された世界初となる二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロ・カーボン・シティー」が注目を集めている。「マスダール・シティー(Masdar City)」と名付けられた、不毛の砂漠に出来るこの人工の新都市は2015年の完成予定で、総面積は6.5平方キロ、開発費は220億ドル(約2兆円)。想定人口は4~5万人で、太陽エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーで都市全体を賄う。「マスダール」はアラビア語で「源泉」を意味する

二酸化炭素排出ゼロ、廃棄物生産ゼロ、さらには自動車の乗り入れも禁止、出来上がれば、この街にはコンピュータ制御の3000台の車が軌道上を自動制御で移動し、人工の池ではバイオ燃料の為の藻が培養される。電力と空調は太陽光発電でまかない、水道は太陽光発電を動力源とする海水淡水化プラントから供給、またエリア内の植物や周辺で栽培される農作物には水処理プラントからの処理済み廃水を利用という徹底ぶりだ。

右は未来都市の空想図では無く、この都市の完成予想図で、すでに着工し、一部のプラントは日本の三井造船などが受注している。UAEは現在も世界で6番目の産油国だが、将来の地下資源の枯渇に対応すべく、豊富な資金で未来都市を建設し、そこで開発される技術を世界に売り込もうという計画だ。同時に国立の技術大学を設立し、その教授陣や生徒には世界から優秀な人材を集め、将来は石油ではなく、国策で才能と技術を売り込もうとしている。全ての計画がすばやく、不毛な海岸沿いのドバイに世界の金融機関を集めてあっという間に世界の金融センターを作ったのは記憶に新しい。全てはすでに亡くなった王様の発案で、今はそれを皇太子が引き継いでいる。

e38090081111e38091e3839ee382b9e38380e383bce383abe5a4aae999bde99bbbe6b1a0no 日本が政治のもたつきなどで時間を浪費しているうちに、世界はものすごい勢いで将来のモデルプランに着手している。色々調べると、技術立国の日本は全てに遅れを取り、例えばこの未来都市の太陽光発電パネルはすでにドイツに決まっている。

何かの計画を策定しても、日本の行政は日本のスケジュールで何年先だとか平気で言うが、世界はそんなスピードでは動いていない。韓国を見れば分かるが、技術者が昼夜問わず開発にまい進し、自国に無かった技術をあっという間に作り上げる。出来上がった製品の品質に問題はあっても、走りながら改良していこうと言う意気込みだ。それをすぐに国が採用し、インターネットの普及は日本より早かった。よく見れば、日本が特化しているもの等ほとんど無い。車もしかり、自分の調べでは、恐らく時間の問題で技術面で欧州勢に追い越されるだろう。(現在世界で最も売れているのはVWフォルクスワーゲン。トヨタは日本と米国で売れているだけで、プリウスも ブレーキの問題など技術的問題を抱え、他の車種も多くのリコールを起している

湾岸諸国が技術エリートの育成に投資するのにあわせ、世界の有名大学がアラブに分校(アメリカのエール大学など)を設置し、エリート学生は留学しないで自国で最高の教育を受けれようになってきた。UAEに2009年9月に開校したマスダール科学技術大学(Masdar Institute of Science and Technology)もアメリカのマサチュウセッツ工科大学MITと提携し、すでにマスダール・シティーの技術開発の中枢機能として始動している。国策で15億ドルが投資され、2008年6月開設、2009年9月には開校というスピードで、教授は世界から25人が選抜され、応募した1200人の中から90人の学生が奨学金つきでエリート教育を受けている。更に世界の多くの企業が実験の支援を申し出ている

この国で最初に油田が発見されたのは1958年、最初の舗装道路は1961年だった。イギリスから独立したのは1971年で、国の歴史はまだ40年ほどしかない。将来の野心は大きく、少数精鋭のエリートに国を任すという勢いに、日本は到底勝てないだろう。いずれアラブから、今度は石油ではなく将来の技術を買う事になるだろう。

このような計画は日本でも可能だ。離島などから実験的に行えば貴重なデータと経験が蓄積されるが、とにかく政治が遅い。研究機関も分散している。将来、大国が小国に負けるときが来るだろう。個人的には、日本の箱物行政全てを否定はしないが、新規の公的な建物に太陽光発電パネルさえも乗せないのではお話にならない。 参考資料  その後の経過

2 Comments

  1. よりばば
    Posted 2010年1月27日 at 2:52 AM | Permalink | 返信

    いい意味での長期政権が、こういう長期プロジェクトを実現できるのではと思いました。日本なんか、折角の長期政権は利権誘導政治で腐敗状態。この世界的な緊急事態の時も、目先の選挙に当選すること第一、なんて…。いい政治をすれば、国民はちゃんと評価するのに…。独立して僅か40年で、産油国なのに将来を見据えて、長期計画で太陽光発電をはじめとする「ゼロ・カーボン・シティ」を建設し続けるなんて。このことを知ると、日本は完全に、落ちぶれ果てたと実感します。将来をこれからの子供達に託す為にも、教育の充実が期されますが、教えるのが今の大人じゃ無理かな。

  2. kako
    Posted 2010年1月27日 at 3:18 PM | Permalink | 返信

     政党変われば 国策も進歩するか、と思えど、結局、揚げ足取りの中継ばかり 世界は 刻一刻と進歩してる、と真剣に考える役人は いるのか、と嘆きたくなります。

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