⑧2010年6月4日メキシコ湾原油状況

 BPは海底でのキャップ設置は完了したが、海上への回収の結果はまだ公表されていない。同時に噴き出しているメタンガスがパイプ内部で氷着する可能性があり、うまく原油を回収できない事態が想定されるからだ。成功したとしても噴出量の全量回収は難しく、あくまでも暫定的な処置でしかない。下は6月3~4日時点での原油流出の状況で、環状に移動するループカレントに原油が到達しているのが分かる。現在の1日当りの噴出量だが、当初BPが言っていた5000バレル(1バレル160リッター。英米でガロン表示が多いが、英ガロンと米ガロンでは換算数値に違Ci100605164807llいがあるので、ここではバレル表示にする。42ガロンが1バレル)はすでに大きく修正されたが、米国政府は事故後46日で の噴出量を2300万ガロン(55万バレル)~3700万ガロン(88万バレル)と推定しているので、1日の噴出量を1万2000~1万9000バレルと見ているようだ。USAToday紙では2万5000バレルと表記があり、他紙でも2万バレル前後で計算している。しかし、研究者の一部は1日5万から7万バレルと主張し、10万バレルの見積もりもあり正確なのがどれかは不明。この誤差は、海上に出てこない海中を漂う大量の原油をどう計算するかによるのだろうが、もし米政府が噴出量を低く算定していれば、後日大きな問題になるだろう。更に今最大の懸念は6月から入ったハリケーンシーズンの到来だ(下の図の赤線)。この発生によっては海洋でのすべての作業が中断される。下は6月4日配信されたルイジアナ州のペリカンや海鳥。  右上は発生から132日後の8月まで(現在掘削中のリリーフ抗が8月までかかる)原油流出が止まらなかったと仮定した原油分布のコンピュータ解析(米国海洋大気庁NOAAThe National Oceanic Atmospheric Administration資料).米国東部海上まで流れ出た場合、原油の有害性は薄まるとしても北大西洋へ北上、一部は南米へ南下するする可能性が多く、世界的な海洋汚染の心配がある。流出原油の油膜oil slickの一部はフロリダ北西部、観光地で有名なpensacola(下の地図参照)方面のビーチに漂着しつつある。今になって大騒ぎの米国だが、従来環境対策、自然保護には無神経な米国は、見方によっては事故の加害者でありBPの共犯者でもある。このことを世界は冷静に分析すべきだろう。ここのサイトで海底の原油噴出をライブカメラ中継中 (実際は中継録画で、進展があれば映像が入れ替わります)

Ci100605103204ll

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 article-1284003-09E0DF12000005DC-437_634x386 article-1284003-09E1C11C000005DC-89_634x394 article-1284003-09E1B87A000005DC-719_634x432

2010年6月6日:かぶせたキャップを経由しての原油とガスの回収が進行中。報道記事によって回収量に違いがあるが、スタート時の6月3日で1日当り6000バレルを海上に回収し、その後回収量は1日当り1万バレル近く回収しているようだが、意図的に大きな数字を言っている節もあるので、正確な数量の把握にはもう少しかかるようだ。関係者は高圧でのキャップの耐久性に疑問があり、恒久的な対策ではないと発言している。今回事故を起こしたマコンド海底油田の他に、BPは深度1万mという人類が未経験の深さのタイバー海底油田採掘にかかろうとしていた。場所は現在の事故現場より少し西のテキサス沖で、昨年9月に発見され埋蔵量は30億バレル、そのほかアラスカ沖の海底油田の採掘も含めオバマ政権は積極的に海底油田採掘を推進し、その矢先に事故が起きた。当時、自国領海内での石油開発に自信を持ったオバマ大統領4月2日にこう語っている。「ところで、現在のリグは一般的に原油流出にはつながらないことが分かっている。技術的に非常に進歩している」その後の4月20日、フットボール場2個分の巨大な海上掘削基地(リグ)が炎上して海底に沈んだ。この流れから、米国内にはオバマ政権の責任論が出始めている。場合によっては政権さえも揺らぐだろう。巨大メジャーBPは資産を売ってでも切りぬけるとしているが、保障が天文学的な金額になるのは見えていて、存続さえも危うくなってきた。当然機関投資家、金融市場に大きな損失を招き景気後退の原因になりかねない。環境破壊もさることながら、日本にも経済的、政治的影響の出る可能性が高い大事故になると想うのだが、、。

事故発生直後から、これはとんでもないことになるという予感はあったが、不幸にも状況は悪い方向へ向かっている。2007年から、世界トップの海底油田掘削企業になったBPは世界中の海で堀りまくっている。事故後に出てきた事実は、なんら環境保護、事故対策をしていなかったという信じがたい事実だ。黙認した米国の責任も大きい。企業と大国のエゴが招いた大災害だが、日本でのニュースの扱いは文字通り対岸の火事を見るようだ。 記事の最初①へ

2010年6月11日:米国連邦議会Federal authoritiesはBPへ書簡を送り、その中で、より強力な噴出原油への対策を至急検討し48時間以内に対策案を出すように要請した。BPは海底で設置したキャップから1日1万5500バレル、1週間で10万4300バレルを回収したと発表しているが、研究機関の見積もりでは1日の噴出量は4万バレル以上と推定され、事故から54日後では1億ガロン、240万バレルほどにもなり、1989年のアラスカ沖の27万バレルの10倍近い量が既に流出した計算になる。また米国海洋大気庁NOAAは、水面下1000mほどに原油濃度は低いが広範囲に原油の広がりを数か所確認している。

2010年6月14日:事故直後のBPが大量の化学剤による原油処理を米国に申し入れたが、当時米国側から拒否されていた事実が浮かび上がった。事故による海底からの流出量を少なく見たのか、海水の化学汚染を嫌ったのか調査が始まった。BPが事故の規模を過小に米国に報告していた可能性もある。

2010年6月16日米国政府は噴出量の再度修正を公表。1日当りの噴出量を3万5000~6万バレルと大きく修正した。これでほぼ研究者の言っている数値に近くなったが、今後も追跡調査は続行される。BPは現在の回収量が1日2万8000バレルに近ずいていると公表し、7月下旬までに噴出原油回収量を1日5万3000バレルの目標。海上作業船を2隻に増やし、16日からは洋上でガスと原油の焼却を開始するが、これには2次的環境汚染の懸念が出ている。更に一部の研究者は海底で噴出するガスの脅威を指摘する。ガスは海水中の酸素濃度に悪影響を与え、海水中に毒性のある化合物を放出していると懸念を表明。

既にBPの保障額は米国との間で1兆8000億円規模になっており、BPの経営に対する不安も出ているが英国政府のBP支援の方向が確認されている。原因究明の中途ではあるが、BPが安全対策上の費用や安全確認作業を大きくカットしたことが濃厚で、今後この災害がBPの人的災害となった場合は別の補償要求の出る可能性や刑事事件への発展もあり得る状況だ。当然支援してきたオバマ政権への影響も出るだろう。

 article-1287685-0A14F842000005DC-772_308x399 2010年6月19日:18日の米国での公聴会では何らまともな受け答えができず、ひたすら謝罪と調査中を繰り返すだけのBPのCEOトニー・ヘイワードTony Hayward氏(写真左)0618-bob-dudley-BP-oil-spill_full_380 にはBP内部、米国から失望の声が多く、どうやら米国人で過去にBPのロシアの関連会社であるTNK-BPを運営したBobby(Bob) Dudleyボビー・ダドリー(BP’s managing director)氏(写真右)に交代する可能性がうわさされている。もし最高責任者になればBPで初めての米国人経営者になると言われている。既にBPは株で500億ポンド6兆6千億円円以上の損失を出し、保証額は700億ポンド9兆4千億円にもなるとの憶測が出ている。

2010年6月21日:英国は金融危機で金融街シティーが低迷、政府も巨額の財政赤字に苦しむ中、英国民の年金資金の運用先であるBPが米国の賠償請求で危機にひんしている事は、たんに英国の大企業が経営難になるという問題ではなく、英国民の生活に重大な影響を落としかねない。ヘイワードCEOの公聴会後のヨット競技への参加、BPが1日の原油漏れを5000バレルと言っていた5月中旬に取り交わされた、1日の噴出量が最悪10万バレルになるかもしれないと言うBP内部のメモの発覚など、どれも米国側の心証を悪くする事態ばかりが起きている。 この後の経過➈へ

広告

3 Comments

  1. 案山子
    Posted 2010年6月5日 at 7:07 AM | Permalink | 返信する

    油 まみれ の 鳥 自分で 落せない物ね 可愛そう 何とか方法無いものでしょうか 

  2. のび子
    Posted 2010年6月5日 at 1:46 PM | Permalink | 返信する

    わ。。。。。

  3. よりばば
    Posted 2010年6月5日 at 11:51 PM | Permalink | 返信する

    酷い!人間の過ちで苦しむ生き物達…当事者たちは、原油が湾からループカレントに乗って、外洋に広がり、拡散される事を願っているのでは!

コメントを投稿

Required fields are marked *

*
*

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。